ストレスの下で最大限の力を発揮する
人前でスピーチをするというのは、緊張を伴うゆえに強いストレスを感じるものだ。ドナルド・トランプやヒラリー・クリントンは、各地を遊説し数万人を相手に演説を繰り広げていた。必ず反論を持つ人間は出るだろうし、バッシングなど当然のごとし。そこで感じるストレスはすごいものだろう。
レベルは違えど、日常的なプレゼンや営業で数字をとる作業だって相当のストレスが感じられるものだ。彼らのように、大きなプレッシャーを感じる状況下にいながらも、まるでプレッシャーなど感じていないかのように振る舞い成果を出すためには、どのようにコントロールしていけばいいのだろうか。
脳神経科学者のダニエル・レヴィティンは「ストレスで脳がコルチゾールを放出する命令を出すと、体の多くが機能しないことがある」と話している。
よく言われる「緊張で固まった状態」がこれにあたるだろう。特に自信がないときに人前で話すのは脅威ですらあり、少しでも早く終わらせたいと願ってしまう。恐怖心から護身に走り、よけいに声が小さくなり、頭の中も混乱してくる。そして、つっこまれるという危険から身を守ろうとして、小さな兆候でも見逃すまいとピリピリするかもしれない。
「ストレスとは、自分にとって大切なものが脅かされたときに生じるものである」とするのは、ご存知スタンフォード大学ケリー・マクゴナガル教授。そう、大切なプレゼンや商談のときほどストレスは大きくなっていくものだ。ストレスは、ポジティブな感情を押し下げて、ネガティブな感情を高めるといった実験結果も見られるなど、マイナスに感じられるだろう。ところが、このストレスによって「チャレンジ反応」が起きたときには、むしろやる気や自信が出てきて、力を発揮できるというのだ。
この「チャレンジ反応」とはどんなもので、うまく生かすにはどうしたらいいのだろうか。