管理職になるとますます増える社内調整や、交渉ごと。チームで大きい成果を挙げるのに必要な力とは?(アドバイスしてくれる人:ファイザー執行役員 清村千鶴さん)
やってはいけないのは我慢したり格好つけたりすること。自分は大変だという状況を周囲に知らせましょう。薬学部を出て、当時珍しかった女性のMRに就くなどロールモデルのない道のりを歩んできましたが、40歳を過ぎてマーケティングの部署でチームリーダーを務めたときが一番大変でした。
調整先がとにかく多く、社内の各部署に外国人上司、提携他社と、それぞれ文化も言い分も異なる関係各所を回るうち、時間を取られ、自分に余裕がなくなりました。会社から帰宅すると夫ともギクシャクして、かつてないほどドツボにはまりましたね。
でもあるとき、隣の部署の部長が「清村このままだと死にますよ」と副社長に進言してくれて、経験のある社員をチームに加えることができ、次第に状況が改善されました。
当時、なぜ隣の部長が進言してくれたのかはご本人に確認していませんが、どうも、フロアに人が少なくなった深夜、残業で残っている部下の前で私が「こんなのやってられるか!」と声に出してぼやいていたのを耳にされ、動いてくれたのではないかと思います。
営業本部長や役員になってからは、自分のポジションパワーを認識して気持ちをストレートに表現することはなくなりましたが、大変なときは我慢せず、声に出すことがとても大切だと思います。
●派閥との付き合い方は?
どこにもつかないのが一番だと思います。外資ではとくに外国人上司がポンとやってきて、またすぐいなくなったりします。引き上げてもらおうとして気に入られようとしても、あまり意味がないのです。
●ゴルフや飲み会は重要か?
入社したてのころは飲み会もゴルフも誘ってもらえず、上司に訴えてみると、女性だから気を使って誘わなかっただけとのこと。翌月から誘いがかかって行ってみると、チームの一員になれたような感覚がありましたね。でも、飲むのが好きでないなら無理する必要はないと思います。
ファイザー執行役員。1982年東京理科大学薬学部卒業後、台糖ファイザー(現ファイザー)入社。優秀なMRの1人として表彰される。2001年、欧米で絶大な効果を挙げていた高脂血症治療薬「リピトール」を国内で展開するリピトールチームのリーダーに抜てきされる。08年より執行役員。
構成=やまよし子 撮影=市来朋久 アンケート調査=NTTコム オンライン