「広告らしくない広告」の売上は順調に伸びている
――Twitterの主な収入源が広告であることはデータ面からも明らかですが、一方でWebでも公式アプリでも、広告らしい広告を“見せられた”という記憶がほとんどありません。確かに心地よいのですが、このことが(広告の)売上げで突き抜けられない理由でもあるのでしょうか?
【笹本】日本法人単体で言えば非常に順調で、これは日本法人設立以来一貫しています。主な収入は広告ですが、(広告事業を始める前に)たとえばバナー広告ならば一般的だし、今の利用者は慣れているから負担をかけないのでは? という意見が社内にもありました。しかし、バナーやポップアップを使うとどうしても目障りになってしまい、TLの観察を中断させられてしまいます。収益化にはもちろん時間はかかりますが、利用者にとって心地よい広告スタイルを貫こう。それが自分たちの価値だと判断しました。創業から10年の売上げとしては充分で、これが正しい選択で、我々が生き残って来れた理由だと思っています。 それにどう広告が表示されるのか、そのアルゴリズムは僕らにもブラックボックスなんですよ。広告表示はアルゴリズムでブラックボックス化し、利用者に閲覧の負担を課さない。これが我々が成長できない理由ではなく、成長できる理由です。
他社と連携して広がるのがTwitterの良さ
――今後、Twitterが発展する方向として見ているビジョンはありませんか?
【笹本】Twitterのタイムラインには、あらゆる形で”現在”が描かれます。どのような形に見えるかは、自分自身がフォローしている相手によって変わります。たとえば、私の観ているタイムラインと本田さんの見ているタイムラインは違うものです。
しかしTwitterの中には、それこそ無数のさまざまな情報発信がある。あるものは感情的かもしれないし、何かを訴えかけるものかもしれないし、独り言かもしれない。 それら膨大な数のツイートすべてを、見続けることはできません。しかし、そこに検索やあるいは“何らかの視点”を加えると、意味が生まれてきます。
たとえばYahoo!はTwitterに流れる情報を統計・検索可能にして、自社サービスに組み込んでいます(図)。電車の遅延情報とともにTwitterに流れる関連情報を抽出して表示する機能は、まさに”通勤電車の今”を伝える有用な情報ですよね。他にもNAVERまとめなど、まとめサイトで引用されることが多いのも、同様の理由からでしょう。我々、Twitter自身が提供するサービスにとどまらず、APIを提供して周囲と連携していくことで思いもよらなかった新しい使い方が生まれる。他サービスとのコラボレーションなどを通じて、Twitterがさらに脱皮していくでしょう。まだまだ、大きな可能性が広がっていると実感しています。