今や企業広報に欠かせないツールとなったソーシャルメディア。個性的な投稿で人気の公式アカウントの“中の人”が、心をつかむ投稿の秘訣を語ります。(解説してくれる人:ソーシャルメディア研究所代表 熊坂仁美さん)
真面目なアカウントが“控えめ”に弾ける!
2009年のツイッター開始から、ウェブを通じた消費者とのコミュニケーションに取り組んできた良品計画。当初からツイッターとフェイスブックの運用を担当している風間公太さんは、フォロワーやファンと「接客と同じ感覚」で交流しているという。
「SNSは、企業とお客さまの距離を近くする存在。柔らかい表現を意識しています。でも、出会った途端に肩を組むのは無印良品のスタイルではないので、心がけているのは握手するくらいの距離感。1日のうち1時間程度、SNSに向き合います」
大事なのはあくまで投稿するコンテンツ=商品であり、「技術的なことではない」と風間さん。同社の投稿は、商品の魅力を伝える情報を中心に、生活情報やイベント情報など読み応え十分。
「当社にはオウンドメディア『くらしの良品研究所』のようなコンテンツが豊富にあるので、1週間のなかで偏りがないよう配置しています。ユーザーの共感度が強い商品、タイムリーな話題に合致している商品に対する反応が多いですね」
良品計画のSNS運用について熊坂さんは「抜群の安定性」と絶賛。
「特にツイッターでは流行語を取り入れることで拡散されやすくなる一方、軽薄に受け取られてしまう恐れも。でも同社は、トレンドを取り入れながらも品を落とさず、ユーモアも秀逸」と評価する。反響の大きかった投稿を見ても、普段は真面目なアカウントの「控えめな弾けぶり」がじわりとフォロワーの心をつかんでいることがわかる。ただ、「デスクノートとバウムはものすごくリツイートされましたが、販売にまったく影響を及ぼさなかった」と風間さんは苦笑い。「『売るぞ!』と狙ったわけではないのでそれでいい。話題になれば、新規でフォローしてくれる方が一気に増えるんです」