みかん農業が直面する問題とは

――(前編では)みかん農家の高齢化が進み、やめてしまう畑が増えていくと予想されるなかで、加工を手がける農業法人としては原材料のみかんをどうやって集めるかが課題だという話がありました。みかん農業全体を考えたときに、生産上の課題はどういうところにあるのでしょうか。
急峻な斜面で太陽をいっぱいに浴びるみかん

【秋竹】みかんづくりは急斜面の畑で行うので、生産性の非効率さが一番の課題だと思います。実際に見ていただくとわかるように、誰もが驚くくらいの急斜面です。なぜ急斜面かというと、急斜面で排水に優れた場所でつくると、皮や袋が薄くて、糖度も高い、良質のみかんができるからです。

ただ、急斜面での生産は非効率で、危険度も高い。個人農家ならケガは自己責任になるのでしょうが、会社の場合は会社の責任ということになります。作業する人たちの安全をいかに確保するか。ここに農業を法人化していくうえでの難しさを感じます。会社としては、できるだけ平坦な安全な場所でみかんづくりをしたいというのが本音。ですが、みかんの品質を上げていこうとすれば、急斜面は避けられません。

――急斜面には機械を入れるのも難しいでしょうね。

【秋竹】難しいです。手作業でやらなければならないことが多くて、大変です。せいぜい2トン車が現地まで入っていって、あとはモノレールで運ぶくらいですね。非効率かつ危険な作業環境を解決するような画期的な方法が生まれない限り、みかん農家が減っていく現状は止められないと思います。