残業禁止や残業削減に独自に取り組む企業が増えている。そこで働く社員は、限られた時間で成果を出すためにどんな工夫をしているのか。

利益率14.6%の超ホワイト企業

「うちの会社は休みもとりやすい。チームの誰かは必ず有休をとっていて、たまに全員そろうと『おお!』という感じになります」(岸玄二氏)

会社で生産性の高い仕事をしつつ、同時に充実した個人としての人生を送る。そんなビジネスパーソンにとって憧れのような生活をしているのが未来工業の岸玄二氏である。

岸氏の部署はフレックス制で、毎朝8時に出社し16時に退社する。そして退社後はテコンドーの師範として自身の経営する複数の道場で指導を行うほか、日本ITFテコンドー協会の事務局長を務める。現在、指導は週7回行い、生徒の数は400人弱にのぼる。

「まだ現役なので、自分の練習ができないのが悩みです」という岸氏は、選手としても全日本大会優勝や世界大会3位という卓越した実績を持つ。

会社では開発部で電気設備資材の設計を担当し、年間5~6個の新規製品を開発している。1日の働き方は朝8時に出社してメールと提案した商品の出荷数をチェックし、コーヒーを飲んだら、あとはアイデアを考えるか、図面を描くか。アイデアが出なければ散歩したり実際のモノを手にしてみたり。

傍目にはぶらぶらしているように見える状況だが、とやかく言われる雰囲気はまったくない。そもそもノルマはなく、給与も年功序列。上司はいるが管理されることはない。しゃかりきに頑張ってはいないが、「自分が提案した製品の昨年の売り上げは約1億4000万円」(岸氏)である。

「頑張ったところで利益という結果が出るわけではありません。面白いモノをつくらないとお客様の目にも留まらないし、頑張ってモノをつくっても利益が出なかったら意味がない」