オモテのビジネスでは「第二・第三印象」が大事

ところで、サプライズが有効なのは「ウラの世界」だけではない。「オモテの世界」でも通用する。

一般のビジネスにおいて、相手(顧客など)に予想もしない驚きを与えて興味を持ってもらいサプライズを起こすことで引き寄せることは可能だ。では、サプライズはどうやって起させるのか? キーポイントになるのは、ギャップである。

もちろんサプライズといっても、先の詐欺と一般のビジネスでは決定的に違う部分がある。それは、ワルたちが相手に対して悪のサプライズを行っているのに対して、ビジネスでは、良きサプライズを行う点にある。

悪のサプライズでは、最初にアルバイト料を払い、儲かっている状況を作り、そのウラで、不正に取得した免許証を利用して、応募者を罠にはめさせ大損する結果を作りだす。相手に不利益を被らせようとするサプライズである。

それに対して、他社との付き合いを重んじる一般のビジネスでは、相手にとっても利益になる良きサプライズをもたらしながら、ウィンウィンの関係で物事を進めていく。

これは、ゲイン・ロスという考え方でみるとわかりやすい。ワルたちは、先に「ゲイン」(利益)を与えておきながら、「ロス」(不利益)の結果をもたらすゆえに、悪のサプライズとなってしまう。それに対して、最初に「ロス」すなわち、致命的にならない程度のマイナスの状況を設定し、その後に「ゲイン」というプラスを作りだす。そのギャップにより、“良き”サプライズを起こすことができる。第一印象ではなく、いわば「第二・第三印象」で高い評価を得ようという戦術である。

たとえば、思い焦がれた人に告白したものの、そっけない態度を取られて、脈なしと落胆しているところへ、突然、プレゼントを持った彼が現れて、「付き合いたい」と言われる。劇的な「ロス→ゲイン」の動きにより、嬉しさと驚きは倍増する。

女性たちから結婚話などを聞くと、最初に出会った時はさえない人と思っていても、後にその人の男らしい部分に惹かれたとか、はじめは自分勝手な人の印象だったが、よくよく付き合ってみると、思いやりがあり、そこが魅力だったなどと話すことがあるが、これもまた、最初に印象がマイナスだったからこそ、後の印象がよくなったといえるだろう。