離婚相手の連絡先を知らないと、自分が大損!
不動産は名義人がいないと厄介になる最たるもののひとつだ。
失踪のケースはレアだとしても、離婚した共同名義人が音信不通になることは珍しくないのではないか。住所も会社も電話番号も変わるなどすれば、打つ手はほとんどなくなる。
覚えておいてほしいのは、不動産の売買には所有者の意思確認が必要なため、「持分売買」ではなく、「不動産を全部売却する」場合には、共有者全員の合意と意思確認が必要となる、ということだ。
そのため、共有者が行方不明になると売却できなくなる。
行方不明や失踪の期間が7年経過している場合は、裁判所に「失踪宣言」を出してもらうことを申し立て、それが認められれば、当人は死亡したとみなされるので、相続人が相続して、相続登記すれば売買することはできる。
しかし、離婚の場合は相続権がなくなるため、相続人と交渉して売却しなければならなくなる。
それに、ローン問題が介在していると7年という時間はとてもじゃないが待っていられないケースがほとんどだろう。結果、競売が不可避となるのである。
こうした場合、「不在者財産管理人」という制度を使って売却が可能となることもある。
不在者の財産管理人を家庭裁判所に選任してもらい、財産管理人が権限外行為を行う許可を裁判所からもらえれば売却は可能となるのだ。窮地の救世主! と言いたいところだが、単に行方不明だから売りたいということで許可が下りるかというと、これがなかなか認められないのが現状だ。
また、売却の許可が下りたとしても手続きが3カ月から1年ほどかかるため、任意売却するには間に合わないことが多い。
「M子さんのケースは夫の失踪という深刻な例ですが、失踪以外でも『離婚した元夫(妻)と連絡がとれない。連絡先がわからない。着信拒否されている』といった方はとても多いです。離婚した相手との縁はきっぱり切りたいものですが、共有名義や連帯保証、連帯債務で不動産を所有している場合は、相手の住所や連絡先を確保しておくことは重要。すっぱり切ると、自分が痛い目にあうこともあります。いざというときに連絡がとれるようにしておきましょう」