最大の課題は「フランチャイズ店舗の代替わりをどう乗り切るか」

フランチャイズでありながら、なぜこのような地域ごとの活動を組織的に企画できるのだろうか。実はモスバーガーの本社や店舗をまとめているのは「モスバーガー共栄会」である。チェーンの本部と店舗、店舗同士を結ぶコミュニケーション組織で、地域ごとに全国20の支部が存在する。このつながりは、産直フェスタやご当地メニュー開発などのほか、教育活動や情報交換などにも役立てられている。

「モスが全国に拡大する上で、ファストフードオペレーション、つまり最低限のマニュアルが果たす役割は大きかったでしょう。多様化が進み、外食産業も飽和状態にある今、同じフォーマットで続けていても生き残ることができません。選択肢があることが重要。そのために、地域に根ざしながら、食材、人材といった地域の財産を活用して全体で活性化を図って行きたいというのが今後の方針です」(太田さん)。

「安心・安全・健康」という地盤に根ざし、ブランド価値を形成していることや、地域の組織力を活用できる点など、堅実な企業体質が最近の業績にも表れてきているようだ。

「瞬発力がないのでブームには追いつけない」(太田さん)と自ら評価するように、メジャーさや派手さには欠けるが、底力のあるハンバーガーチェーンである。1972年創業のモスバーガーは、来年45周年を迎える。当面の大きな課題である「フランチャイズ店舗の代替わりをいかに乗り切るか」が、今後の成長の鍵を握る。


モスバーガーの最新メニュー(2016年11月)。クリックすると全体を表示。
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