野菜の安定供給、地産地消の取り組み

仕入れの面で言えば、モスバーガーでは野菜の安定供給を図るための取り組みも行っている。全国約3000軒の協力農家ネットワークに加え、各地にモスファームを設立している。モスファームは地域の企業や個人との共同出資方式による農業生産法人で、2006年の静岡県菊川市のケースを皮切りに、2015年までに6例ほど設立している。2015年4月に設立したのは、レタスの産地であるモスファーム信州(長野県小諸市)とモスファームマルミツ(熊本県)だ。


農業生産法人「モスファーム」を各地に設立している。写真は熊本のモスファームマルミツ。

また一方で地産地消の取り組みも積極的に進めている。その一つが「モスの産直野菜フェスタ」だ。店長を始めとする、モス店舗の従業員が近隣の農家で野菜の収穫体験をし、その産地でとれた野菜を使用した期間限定商品を提供する。全国で年間20回前後行われており、客からは「新鮮な野菜が味わえる」「スタッフから勧めてもらうことで、より安心感がある」などと好評だという。

「食品の安全については、生産管理などによって企業で担保できる問題です。しかし“安心”はお客様自身に感じてもらうことなので、企業側でできることには限界があります。ですから、地域民でもあり、お客様と顔を合わせているスタッフ自身から体験に基づいて伝えることの重要性は非常に高いと考えています」(太田さん)。

地元の名物から地域ごとに新しいメニューを開発する取り組みも、2002年頃から行われている。2015年からは、各地域の名物や特産品をモチーフにアイデアを募集し、期間限定商品として全国展開しており、2商品で金額構成比10%程度を売り上げるほどのヒット商品となった。