霞が関の官僚機構のなかで、財務官僚は頂点に君臨する。東大法学部卒を中心に、毎年20数名が採用され、国家公務員試験の上位合格者ばかり。財務省には、エリート中のエリートが集まる。

<strong>きし・のぶひと</strong>●1949年生まれ。73年東京外国語大学卒業後、読売新聞社入社。大蔵省、日銀などを担当。91年に独立。経済ジャーナリストとして技術開発、雇用問題、知的財産権などをテーマに執筆活動を続けている。『知財の利回り』『特許封鎖』『税の攻防』など著書多数。
岸 宣仁きし・のぶひと1949年生まれ。73年東京外国語大学卒業後、読売新聞社入社。大蔵省、日銀などを担当。91年に独立。経済ジャーナリストとして技術開発、雇用問題、知的財産権などをテーマに執筆活動を続けている。『知財の利回り』『特許封鎖』『税の攻防』など著書多数。

それだけに財務省を描いた本は数多い。だが、中身をエリートたちの「出世」と「人事」に絞って詳細に語ったものは、おそらく本書が初めてだろう。財政赤字問題や消費税論議などの小難しい話はなく、論旨が明確なので読みやすい。しかも、30余年に及ぶ取材をもとに描かれているので中身も濃い。

(永井 浩=撮影)