部下の能力を引き出す上司の「口ぐせ」
【A ヒューマン系コミュニケーション力】
(1)部下が安心して話せる口ぐせ
上司に対して話すときに、論理性にこだわるあまりシドロモドロになるケースがあります。また、報告には論理性を求めてもいいのですが、悩みや相談事などの場合は緊張していては自己開示ができません。
そこで、部下が話しだすときに、上司が部下のハードルを下げる口ぐせはこちらです。
〈口ぐせ〉
「バラバラでいいから、思っていること、悩んでいることを思いつくままに話してみて!」
上司が面談時にこのように宣言してくれると、部下は安心して話すことができます。私もクライアントさんが自分の思いや考えをうまく話せず混乱しているように感じたときには、上記のような切り出しをします。とても効果的です。
(2)遠慮なく自己主張させるための口ぐせ
会議や上司で意見を言うときには、緊張するものです。「こいつ、こんな意見しか言えないのか?」と蔑まれることを恐れていたり、反論されて傷つくのを怖がったりするものです。
そこで上司の立場ならば、部下を気楽にさせる口ぐせを言っておきたいところです。
〈口ぐせ〉
「とりあえず、どんな意見でもいいので、ひとつ教えて!」
「どんな低レベルの意見でもいいから教えて!」
このように最初の発言のハードルが下がると、2回目からは意見が言いやすくなります。
一方、部下の立場ならば、聞き手の期待値を下げてから話す口ぐせを入れるといいでしょう。
〈口ぐせ〉
「的外れな意見かもしれませんが……」
「思いつきのアイデアで恐縮ですが……」
考えてみれば、よく意見を言う人はしばしばこのような口ぐせを使っているのではないでしょうか。実際使ってみると分かりますが、意見を言う心理的なハードルがぐんと下がります。
(3)温かみを伝える口ぐせ
人間関係で一番心温まるのは、相手から興味関心を向けられていると実感するときです。上司が部下(自分)を見てくれている、他のメンバーが(自分を)気にかけてくれている、と感じるとき、私たちはひとりではないと安心できます。また、その人のために頑張ろうとも思えるのです。小さな変化に気づく、思いやりやサポートする姿勢を示すことがポイントです。
〈口ぐせ〉
「最近、○○変えた?」(表情、髪型、服装など変化)
「○○の件、サポートできることがあればいってね」(思いやり)
ただし、相手との関係性によっては、かえって言われたくないことはあります。そこはしっかり見極めるとして、普遍的な原則は、相手の変化に気づくこと、思いやりを示すことです。そのために何ができるかを考えてみて下さい。