「禍を転じて福となす」人の生き方の思考習慣3

人生には逆風が吹くときがあります。

例えば、病気にかかる、災害にあう、大不況に見舞われる、離婚する、さらに勤務する会社に大きな損失を与える失敗をしてしまう……。そんなとき、その逆風にダメージを受け下降してしまう人と、その逆風を人生の糧にして上昇気流に変えられる人がいます。

「禍を転じて福と為す」とは、自分の身にふりかかった災難や失敗を上手く利用して、逆に自分の有利になるよう工夫すること。(故事ことわざ辞典)

つまり、ただ禍を乗り越えるだけではなく、それを自分の糧にして人生の上昇気流に変えていくことなのです。

今回は、「禍を転じて福となす」人はどのような思考習慣を持っているのか、私たちができることは何かという観点で書いてみたいと思います。

▼禍を転じて福となす人の習慣1
逆境に対して「肯定的な認識」を持っている

まず、逆境が自分や人生を飛躍させてくれるものだ、という肯定的な認識を持っています。私の知り合いの経営者でもリーマンショックに直面したときに潰れる人とそれを上昇気流に変えていく人に分かれていきました。

ある経営者は、売り上げが半分以下に下がったとき、無借金経営の歴史に終止符を打ち、社長が大きな借り入れをして巨大なリスクをとることになりました。

事業構造のバランスの悪さからすぐに立ち直れそうにない状況です。そんな危機的な中で、その社長は全社員を前にこのように述べていたのが印象的でした。

「今回のリーマンショックは100年に一度の大不況。本当にその通りだと思うし、先を考えると見通しが立たず真っ暗な気分になるときもある。でも、私はなぜかその一方でワクワクしている。こういう逆境を乗り越えた先に絶対に大きな成長が待っているとわかっているから。今までもそういう危機を乗り越えてきた。だからこういう危機を活用して我が社は飛躍したい」

結果、3年後の業績は事業転換を果たし過去最高益になりました。もちろん、そのプロセスはとてつもない嵐の中での経営だったに違いありません。しかし、逆境が上昇気流に乗せることを強く信じていたのです。

経営者でない人にも大なり小なり人生の逆境、仕事の逆境のシーンがあるでしょう。それを振り返ってみてください。

その逆境が自分に何を与えてくれたか?

逆境がまったくない人生や仕事環境だと今の自分はどうなっていたか?

あのアップルのスティーブ・ジョブズも自社を追われて、再度復帰して逆境の中、伝説的な製品を次々と作り出しました。

そう考えると順風のときより、逆風が自分を育ててくれるという肯定的な考えが改めて腑に落ちるのではないでしょうか?

この認識が常にあり、逆境を敢えて求めるぐらいの思考習慣を育てているのが禍を転じて福となす人の特徴と言えるかもしれません。