逆境を肯定しない人は、上昇気流に乗れない
▼禍を転じて福となす人の習慣2
自分のスタンスに集中する
パナソニックの創業者、松下幸之助氏は「好況よし、不況さらによし」と言っています。不況のときはお客さんも買うものに敏感になるので、良い経営をしているところは、不況のときこそ選ばれるという趣旨です。だから良い経営をしている店は、好況もよいし、不況もさらによいというわけです。
ここから読み取れることは、外的要因より内的要因に目を向けようというメッセージです。私たちの人生や仕事には、変えられることと変えられないことがあります。変えられることは自分、変えられないことは環境です。
言ってみれば、逆境は外的要因、内的要因は自分のスタンスです。自分のスタンスは、外的要因がどうあれ、ずっと維持できるはずです。
営業マンを例にとりましょう。消費者の気持ちで聞いてみてください。
AさんとBさん、2人の営業がいます。Aさんは、買ってもらうときは良いのですが、商品の不具合を訴えるお客さんには極めて不親切で、連絡も遅い。お客さんは怒り心頭、でもAさんは売り上げを上げることが自分の役割だと思っているので、クレーム対応といったメンテナンスのような業務にはネガティブなスタンスを持っています。結果、信頼を失います。そして、クレームはどんどん大きくなってしまいます。
一方、Bさんは、クレームが起きたら何はともあれ、ただちに電話をかけます。その行為からは、相手を困らせて迷惑をかけてしまったことに対して申し訳ないという気持ちを抱いていることが伝わります。最初は怒り心頭のお客さんも徐々にそんなBさんの「誠意」を感じて怒りが収まってきます。
さらに、このクレームへの対応からBさんはよりお客さんから信頼されます。この人から買い続けるとまた同じように対応してくれる、という信頼感です。
私たちは禍を避けることはできません。
できることは、その渦中にありながらも、自分が相手の立場に立った対応を最大限するということ。その後、上昇気流に乗れるか、下降気流に乗ってしまうのかは、自分の「スタンス」で決まるのです。