さらに、将来事業をしたいと考えている人ならなおさら、手元に現金を残すほうを選ぶべきです。事業のための融資を受けるには、自己資金がポイントになるからです。

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ライフプラン表作成のススメ(記入例)

たとえばアパート経営をするためにアパートローンで資金を借りるときも、自己資金がいくらあるかが重要な審査項目となります。借金ゼロ・自己資金ゼロより、住宅ローンはあるが自己資金もあるという人のほうが、「お金が回っている」好ましい人なのです。

さらに、繰り上げ返済をしない場合、現金を投資に回すという選択もいいでしょう。住宅ローンの金利以上のリターンを得る自信があるなら、余裕資金は返済に回すより投資に注ぎ込んだほうがプラスだということになります。

また、住宅ローンと組み合わされる「団体信用生命保険」の存在も、判断材料の1つとなるでしょう。

万一、自分が死んだら住宅ローンの残高がゼロになる保険。ローン金利の中に保険料が含まれている保険。「返済不能になってマイホームを手離す羽目に」という心配は、こういう形でも解消することができます。

結局、漠然とした不安解消のために繰り上げ返済に走るのは、けっして賢明ではないということです。

コンサルタント・元メガバンク支店長 菅井敏之(すがい・としゆき)
1960年生まれ。83年三井銀行(現・三井住友銀行)に入行。支店長を経て48歳で起業。年間7000万円の収入を得る不動産投資家でもある。著書に『家族のお金が増えるのは、どっち!?』『お金が貯まるのは、どっち!?』。
(構成=小山唯史)
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