来るべき消費税増税への備えとして、賢人たちが異口同音に勧めるのは、家計を見直して無駄を省くこと。「そうすれば、2%の増税分なんてすぐに取り戻せます。とりわけ、生命保険料や教育費のような、毎月決まって支出される固定費にメスを入れると、効果が大きいのです」と元メガバンク支店長・菅井敏之さんは断言する。

一方、アベノミクスで株価や地価は上昇傾向だ。消費税が上がれば、消費支出もその分増えるため、株や不動産に投資したリターンで、家計のマイナスを補いたくなる。しかし、荻原さんは安易な投資に「待った」をかける。

「いまはキャッシュを持っておくのが一番。デフレはまだ続くので、現金のほうが資産の目減りを防げるのです。収入を増やすのは難しいですが、実は、いまある借金を返せば、現金を手っ取り早く増やせます。たとえば、多くのビジネスマンが抱えている住宅ローンですが、余力があれば繰り上げ返済を積極的に行いましょう。住宅ローンは支払い利息の割合が大きく、繰り上げ返済をすることで、その利息が劇的に減ります。『借金を減らして、キャッシュを増やせ』が、16年のスローガンです」

そして、手元にある現金を預けるなら、「メガバンクよりも地元の信用金庫」というのが菅井さんの持論で、「信金のほうが親身に接してくれて、定期的に積み立てをしていれば、信金からの信用も増します。将来、何かでお金が必要になったときも、有利なローンを組めるようになります」という。

荻原博子
経済ジャーナリスト。1954年、長野県生まれ。経済とお金の仕組みを、わかりやすく解説。『ちょい投資──怖がりだけど欲張りなあなたの投資講座』をはじめ著書多数。
 
菅井敏之
元メガバンク支店長。1983年に三井銀行(現・三井住友銀行)へ入行。中野支店長などを務める。起業後はアパート経営に。著書に『お金が貯まるのは、どっち!?』など。
 
(南雲一男、加々美義人、遠藤素子、加藤ゆき=撮影)
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