2016年は電力自由化をはじめ、家計に深くかかわるルールの改正が行われる。それらをいかに活用したらよいのか──。

個人投資家の育成などを目的として、2014年に導入されたNISA(少額投資非課税制度)に、子ども用の「ジュニアNISA」も新たに登場した。口座受付が16年1月からスタートして、4月から実際に投資に活用できるようになった。

NISAは、専用口座で株、投資信託などを購入した場合、その金額が年間120万円(16年1月より現行の100万円から増額)までなら売却益や配当・分配金が5年間非課税になる制度。ただし、非課税枠が余っても、翌年には繰り越せない。

ジュニアNISAは、0~19歳の未成年が対象(NISAは20歳以上が対象)。もちろん学生がお年玉やバイト代を投資に回すわけではない。両親などが子どもに贈与した資金を、子ども名義の口座で運用することを想定しており、教育資金づくりが名目だ。基本的な仕組みはNISAと同じだが、非課税枠が年間80万円に抑えられている点が違う。また、無駄遣いを防ぐため、子どもが3月31日に18歳になる年の1月1日以降になるまで原則、払い出すことができないのも特徴だ。

デメリットもある。NISAは専用口座なので、ほかの株や投資信託との「損益通算」ができない。一般の口座であれば、同年度に複数の銘柄の株を売って利益と損失が出たら、それを相殺することができる。しかし、NISAの運用で損失が出ても、一般の口座で得た運用益にはフルに課税されてしまう。また、損失を3年間繰り越して利益と相殺していくことのできる「譲渡損失の繰越控除」も利用不可なので注意が必要だ。

ジュニアNISAには元本割れのリスクが伴い、「優遇制度につられ、教育資金を無理して運用する必要はない」という意見もある。一方、ジュニアNISAを評価する賢人も少なからずいて、ファイナンシャルプランナーの畠中雅子さんは次のように説明する。

「最大のメリットは、将来の子どもの教育に備えた、いわば“強制預金”になることです。親といえども、子どもが3月31日時点で18歳の年まで手出しできないわけですから。学資保険に入るタイミングを逃した人や、学資保険だけでは教育資金が心もとない人にも、利用価値は高いといえます。ジュニアNISAは長期運用が前提です。たとえば、株も10年単位で保有していれば、株価の変動リスクが緩和されるので、実際には大きなダメージを受ける可能性は小さいでしょう」