実は、この手のロマンのあるビジョンを語るのは、海外のトップリーダーたちの得意技です。成長分野ということもありますが、特にIT系企業のトップのビジョンには、何度も感心させられました。たとえば、ツイッターの創業者の一人であるビズ・ストーンさんは、ツイッターの開始初期の頃に「近い未来、このサービスで誰でも発信者になる時代が来る」と自信満々に話していました。
日本ではツイッターを知らない人のほうが多いような時代でしたが、彼の話を聞いていると、本当にそんな時代が来るように思えて私もワクワクしました。そして、事実今、彼の言った通りの未来に私は生きています。成果を数年後のレベルで見せつけられるのも、進化のスピードが速いIT業界特有の強みでしょう。
とはいえ、そのビジョンの壮大さもさることながら、彼らの本当の力は、ためらいなくそれを口にする表現力だといえます。きっと日本にも、大きな夢を持っているトップは大勢いると思います。しかし、日本のトップの多くは、「そんな青臭いことは恥ずかしくて言えない」と考えてしまうのではないでしょうか。これは「思ったことは何でも口にする」という欧米の文化性なのかもしれませんが、「SF映画みたいに脳の中のイメージを映像化したいんだ」というように、少年のような夢を大人になっても語れること。未来を思い描くトップのピュアな姿に、多くの人は魅かれるのです。そして、夢を実現しうる彼らの実力に期待して、協力や投資の話が舞い込みます。自分の夢を「みんなの夢」にしてしまえるところが、彼らが愛されるゆえんなのでしょう。
【調査概要】
年収1000万円以上で「自分の人生は成功だ」と思っている人(成功者)と、年収300万円以下で「自分の人生は失敗だ」と思っている人(失敗者)に、リサーチプラスにて、各100人にアンケート調査を実施。2015年3月6~9日。
証券会社、Bloomberg TVで金融経済アンカーを務めた後、2004年米国でMBAを取得。その後、日経CNBCキャスターに。トニー・ブレア元英首相の独占インタビューをはじめ、世界のVIPたちへのインタビューは1000人を超える。現在、日経CNBC「夜エクスプレス」のアンカーを担当。テレビ朝日「サンデースクランブル」ゲストコメンテーターとして不定期出演中。