対処方法

数字につながる効果的な営業会議を行うためには、まずその役割を把握することからはじめよう。

会議の1つ目の役割は「インプット」だ。上司にとっては現場の状況をヒアリングしたり、課題が見つけられる場であり、部下にとっては学ぶものがある場でなくてはならない。業界の情報、技術的な情報、工場の稼働状況などの「最新情報」と競合の動きに関する「競合情報」は営業マンが共有してインプットすべき情報であり、個々に伝えるより、顔を揃えたときに共有したほうが効率がいい。

「成功事例」も会議でインプットすべき情報の1つだ。個別案件の進捗状況は報告させても役に立たないと述べたが、契約がうまく取れた事例はもちろん、キーマンに会えたといったプロセスも事例として昇華できていれば共有する価値はある。「こういう場合にこうしたからこうなった」という成功のポイントを分析して、「自分たちならどうするか」というところまで落とし込みたい。

2番目の役割は「アウトプット」である。これは単にアイデアをアウトプットするという意味ではない。「あの顧客を攻めるぞ」「大事な案件だから頑張ろう」などと盛り上がり、全員で「エイエイオー」――よく見かける光景だが、具体的にその案件や業務を誰がやるのか、どうやってやるのか、まったく話し合わないで終わってしまう場合が多々ある。これでは意味がない。

会議は「誰が」「いつまでに」「どのような手法で実行するか」という行動計画を決める場でなくてはならない。ここで大切なのは、プロセスをどこまで具体的にできるかだ。「競合に勝つぞ」と言うだけでは意味がないが、きちんと時期と担当者と手法を決め、具体的な行動計画にまで落とし込んでいけるか。成功している会社に共通しているのは、それらの課題に対する「障壁」まで整理できていることだ。現状でどこに壁があるのかに加え、具体的な攻略法まで整理できている会社は行動の実現度も高い。

3番目の役割は「アドバイス」。個別案件の話ではなく、壁にぶつかっている営業マンに対して突破法を伝授する。「なぜ売れないんだ」と営業に問い詰めても売り上げは上がらない。会議の席で数字をあげつらうべきではないのだ。数字を責めても増えない。逆に売り上げアップに役立つような営業手法を伝授し、士気を上げていく。会議は消耗の場でなく、参加者にエネルギーが充填されるような場でなくてはならない。

(図表データ=カーナープロダクト調べ)