「空中戦」を避けて全員参加でゴールへ

どこにも着地しそうにない会議を、私は「空中戦」と呼んでいます。議論の前提や根拠を話さない。同じ言葉でも参加者によって意味が異なる。相手の意見を推測で判断する――。なぜこうしたことが起きるのでしょうか。その理由の多くは「バックグラウンドの違いで事実認識が異なるから」のようです。

部署や役職、年齢や年次、性別、独身か未婚か。人によって立場はいろいろです。「空中戦」では、感情や主観が優先されて、誤解の余地のない「事実」への理解が乏しくなりがちです。会議の場ではできるだけ「事実」ベースに議論ができるように話を向けると、無用の対立を避けられます。抽象的な言葉を定義する。ニュアンスではなく数値を示してもらう。そうやって「事実」をあぶりだすことで、中身のある議論を促すのです。

ロジックだけで人は動きません。参加者が「それでいこう」という「納得感」のある結論に至らなければ、その会議はムダになります。対立するのではなく、一体感のある会議が理想です。一体感のある会議とは、全員が気持ちよく参加できる会議です。的外れな意見が出ても、「それも悪くないんじゃないですか?」と反応する。ゴールを間違えた発言にも、「その話はしていません」と斬り捨てるのではなく、「ほかに意見はありませんか」と発言を回します。

いい会議のためには人数も重要です。「発散」を目的とした会議では10人程度。「発散」と「収束」を目指す会議では6人が限界。それより人数が多いのは「意識づけの会議」。集まること自体が目的なので、事前に結論を共有しておくと、より短時間で終えられます。

アビームコンサルティング執行役員 斎藤 岳
東京大学大学院農学生命科学研究科修了。コンサルティングファームを経て、2001年にアビームコンサルティングへ入社。09年より現職。著書に『1回の会議・打ち合わせで必ず結論を出す技術』などがある。
(構成=鈴木 工)
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