進行役は「下っ端」に任せたほうがいい
会議が終わったときに「よし!」と心の中で叫べるような、すがすがしい会議を経験したことがあるでしょうか。どんな結論が得られれば、そう思えるのか。2つのポイントがあります。
一つは「ひとりでは考えつかないようないいアイデアを生み出す」。いいアイデアを出し、よりいい結論をつくるためには、人が集まって話し合うことが重要です。メールやSNSでは代替できません。他人のもっている情報と自分の情報による「化学反応」が起きることは、会議の大きな果実の一つです。
もう一つは「複数の人の合意を得て、ひとりではできないことをやる」。当事者に「納得感」がなければ、組織は動きません。また当事者のもつ情報がないと「決められない」という場合もある。その場で決められれば、すぐ行動につながります。
私は前者を「発散」、後者を「収束」と呼んでいます。「会議はムダだ」と忌み嫌う人もいますが、残念ながらグループで仕事をする限り会議はなくせません。
むしろ会議で集まったほうが効率がいい。ただし、やめたほうがいい会議はあります。「発散」と「収束」、そのどちらでもない会議です。こうした会議はやめるか、できるだけ時間を短くするべきです。
結論さえ出れば、会議は終わります。そのためには「化学反応」と「納得感」が欠かせません。それでは、どんな人が、どのように会議を仕切ればいいのでしょうか。その答えは「会議に参加する人全員が、一体感をもつこと」です。
質の高い結論を出すためには、参加者全員の個性を活かしてゴールに進む必要があります。そのためには誰かひとりが仕切るのでは、うまくいきません。参加者全員が「どうやったら結論にたどりつくか」を考えている会議が理想的です。最初は主宰者や責任者が進行役を務めることが多いと思いますが、意思決定者の前では参加者が萎縮しがち。むしろ一番えらくない人に進行役を任せましょう。さらに、ひらめいた人、いいまとめ方を思いついた人が、その都度、進行役になればいいのです。
その際、注意すべきなのはゴールを明確にしておくことです。
「○○について話しましょう」という表現だと、会議が「発散」なのか「収束」なのかわからず、向かうべき方向を見失ってしまいます。「発散」であれば「今日は○○の論点を出します」、「収束」であれば「○○を決めます」という表現を使うと、参加者全員でゴールを共有できるため、ムダ話は減ります。