「副業力」が大学教授の収入を左右する
さて、ここまでは、大学から支払われる給与の話です。
大学教授であれば、「週5日、9時から18時まで勤務」といった仕事ではないため、時間的に副業が可能です。国立大学でも、内容にもよりますが、本務に支障がない範囲で副業が認められます。
代表的な副業としては、
(1)講演会や書籍執筆・専門雑誌投稿
(2)企業の顧問、社外役員就任
(3)大学内起業
といった選択肢が考えられます。
「講演会や書籍執筆・専門雑誌投稿」については、昔からの定番分野です。ただし、イベントなどで講演をしても、多少の謝礼が出る程度でしょう。書籍もベストセラーにでもならない限りは、労力ほどの対価は得られません。専門雑誌やマスメディアでのコメント掲載などに至っては、無償というケースも少なくありません。
次に、上場企業に対して社外取締役設置が義務化される流れの中、拡大してきているのが「企業の社外役員(取締役、監査役)への就任」です。社外役員にはならなくても、その分野の権威であれば、企業から顧問として招聘されるケースもあるでしょう。
日本監査役協会が2015年12月に発表した「役員等の構成の変化などに関するアンケート集計結果-監査役(会)設置会社版-」によると、回答企業の社外取締役総数5375人のうち、前職・現職が大学教授という属性は351人(6.5%)となっています。弁護士が410人、公認会計士又は税理士が207人ですので、かなりの割合ということになります。
上場企業の社外取締役であれば、平均的な年間報酬で数百万円程度、大企業なら1000万円を超えることもあり、責任は重いものの、それなりの副収入になります。ただし、上場企業から社外取締役候補に選ばれるには、多くの場合「有名大学で一定の実績を挙げている」ことが条件になると思われますので、どこの大学の教授か、というのは重要な要素です。