仕事の効率を高めるシンプル・ルール
複雑さに対処し神経系統の拡張を図るために、モリューが薦めるのは、こんな6つのシンプル・ルールだ。
1.同僚の仕事を理解する
2.マネージャーの権限を強める
3.ルールをなくす
4.権限を委譲する
5.自己完結させない
6.失敗は責めない。責めるのは協力を怠った時
1の、同僚の仕事の理解。これは、マニュアル通りに想像をめぐらせたり、既成概念で「エンジニアの仕事はプログラミング」のように決めつけないこと。たとえば伝票の整理をどのようにしているか知れば、その人が見やすいように書いてあげる気持ちも生まれる。これで問い合わせを受けることもなくなり、互いの作業の効率化につながるだろう。
2つめ、今いるマネージャーの権限を強化すること。作業が自分の仕事に利害を生むようにすることで、一生懸命に周りをとりまとめ、協力をもとめるようになる。
3つめ、ルールをなくすこと。分厚いルールブックやマニュアルを課すことで、縦割りの許可が必要になるなど、作業の効率にも影響する。マネージャーが決める権限をもつと、現場がスムーズに回るはずだ。
4つめ、権限を委譲すること。それぞれが責任者として権限を与えられ責任を持つことでリスクを背負うため、周りの協力を仰ぐようになる。責任とリスクのコンビがなければ、むしろ損を避けるために関わろうとしないかもしれない。
5つめ、相互依存させ、自己完結しない。自分だけで判断し、決定ができる領域をなるべく減らすことにより、隣の人のミスが自分の足を引っ張ることになり、協力せざるを得なくなる。
6つめ、失敗は責めず、協力を怠ったときにのみ責任を問う。
失敗しても責められることがなければ、自分の成績も表にできるだろう。それを改善することがむしろ自分の利益につながるかもしれない。
レゴ社のCEO ヨアン・ヴィー・クヌッドストープは、「責められるべきは失敗ではなく、協力しないことや協力を求められないことだ」という。たとえ失敗をしてもせめず、協力した社員に報いて、むしろ協力しない社員に理由を問う。つまり、組織をより複雑にするルールを並べ立てるのではなく、相互作用を大切にというわけだ。これによって仕事のパフォーマンスもあがれば、人間関係もより密度が高まり、仕事への満足度が高まっていく。
できる限りのムダをはぶくことが、効率よく仕事を進めるルールに必要となる。では、最初に戻って会議の存在を見直してみよう。