不倫相手が「役員秘書」は即厳重処分

流通業の人事担当者はこんなケースがあったと語る。

「男性社員の奥さんから、夫と女性社員の不倫の証拠付きの告発文が送られてきたことがある。不倫現場を押さえた写真もあったので男性社員を呼んで事実を確認し、家庭内で丸くおさめるように言った。ところが、奥さんの怒りは相当なもので『女性社員を辞めさせろ』と言ってくる。騒ぎが大きくなると職場や会社も迷惑だし、女性だけを一方的に処分することはできない。結果として就業規則違反を発動し、男性を降格の上、配置転換し、女性も配置転換と減給の処分を下した」

社内不倫による夫婦間のトラブルが会社に持ち込まれたら“アウト”だ。業務に支障を来すなど職場の秩序を乱し、なおかつ企業の社会的信用を傷つけたという理由で解雇された事例も実際にある。

人事部が恐れるのは業務に支障を来すことだけではない。関連する人物による都道府県の労働局への告発だ。

多いのは不倫している男性社員が別れ話をしたことに相手の女性が逆上するようなケース。労働局に「男性にセクハラされた」と告発する事例は少なくないという。

労働局から会社に事実照会の問い合わせがあり、原因がセクハラではなく不倫にあるということが判明しても、「当局を巻き込んだ」事実を重く見て、人事部が何らかの処分が下すこともある。

ところで、単なる社内不倫自体は処分されることがないと述べたが、例外もあると語るのは不動産会社の人事担当者だ。

「一般的な不倫に対しては寛容だが、その中でも、役員秘書、取引先の女性社員、社内きっての美女との不倫は処分に発展する可能性が高い。役員の情報を知り得る立場にある秘書と不倫した男性が地方に飛ばされたこともある。取引関係にある女性の場合はビジネスに障害をもたらす可能性があり、未然に処分するようにしている。社内きっての美人との不倫が発覚すれば、社内のウワサとなって拡大するし、社内風紀上も問題となるだろう」

社内で不倫のウワサが広まれば、そのこと自体が「環境型セクハラ」と呼ばれ、放置していた会社側がセクハラの責任を問われることになりかねない。

いずれにしても独身の男女による社内恋愛と違い、不倫は今後のキャリアやサラリーマン生活にとってリスクが高いことを心得るべきだろう。

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