日常のビジネスシーンでも、実際の勝負の前に勝敗が決するような場面はある。例えば、交渉相手との駆け引きだ。握手の仕方一つでも差はつくものだ。
素早く相手の親指以外の4本の指を強く握るというテクニックを使えば、完全に主導権を握ることができる。手のひら同士を合わせて握手するのではなく、指を押さえられてしまうと、人間は自ら手指を動かすことができなくなる。親しげに握った手を振ろうと思えば、4回でも5回でも好きなだけ振れるし、そっけなく終わろうと思えば、すぐに離してしまえばいい。指の先を押さえることで距離感もコントロールできる。相手に接近を許すこともないし、逆に距離を近づけることも自由自在だ。
実は、これは2度の訪朝の際に、小泉純一郎総理大臣(当時)が、故金正日総書記を相手に使った手法でもある。パーティーなどの公の場では、著名人と記念写真を撮って、自らの信用を上げ、詐欺の材料として使う悪質なケースがあるから注意が必要だが、それを実行する手段としても、防ぐ手段としても有効だ。
赤の他人から握手を求められたら応じないのが一番だが、執拗に頼まれた場合など、不機嫌そうに指の部分だけ握ってその場を離れればよい。相手が写真撮影に誘導し、もう一度握手をしてほしいといっても「さっきしたではないか」とお断りを入れるのだ。
逆に親しげに映る写真を撮りたければ、指を握って近づき、写真を撮ってしまえばいい。いずれにしろ相手は全くなす術がない。
地位の高い人間が、パーティーに参加する場合などは、隙を見せず、ドリンクを持ったり、ポケットに手を入れたりなど防御にも気を配りたいものだ。後ろから近づいてササッと手を握り、写真を撮るという手法も当然ある。