昨年10月、関係12カ国で大筋合意したTPP(環太平洋経済連携協定)交渉。日本は最後まで粘り、不利な立場から交渉全体の主導権を握るようになった。そんな交渉団を支えたのが首席交渉官だ。初めて交渉の舞台裏を明かした。
相手の大風呂敷を一発で見抜くには
交渉というと、駆け引きを思い浮かべる人も多いだろう。例えば、最後は「50」で手を打つつもりで、最初は「500」くらいからふっかける。相手の腹を探り何度か交渉を重ねて妥協案を見いだすのだ。しかし実際の交渉現場では相手も準備しているから、法外な要求だとわかり、こちらには真面目に交渉を行う考えがないのではないかと不審を抱かれてしまう。次にこちらが「100」に下げても、相手はまだ何か裏があるのではないかと疑い、結局、交渉はまとまらず、「50」もとれなくなってしまう。
本当に交渉をまとめようと思ったら、こうした駆け引きは百害あって一利なしだ。交渉で合意を見いだすには何が大切か。私が政府対策本部の首席交渉官を務めたTPP(環太平洋経済連携協定)締結交渉を例にお話ししよう。
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