次にタワーレコードの取り組みを見てみよう。同社は11年、実店舗とECサイトで別々に運用していたポイントカードを統合したことをきっかけに、ポイントカード会員からの売り上げを分析するための視点を新たに設けた。「いつどれだけ商品を買っているか」「どのキャンペーンのメールを開封したか」「どういった音楽を好んでいるか」などを、顧客ごとに把握できるようにしたのだ。

それまでは、「ある商品はこれだけ売れた」「あるキャンペーンのために送った販促メールのうち、全体の数%が開封された」といった具合に、商品やキャンペーンを軸にした視点でしか数字を見ていなかったという。

同社オンライン事業本部の前田徹哉氏は、過去に他の小売業のデータ分析に関わった経験から、「顧客ごとに適切なマーケティングを実施すれば必ず収益は上がる。そのためには、顧客側からの視点での数字を持たなくてはいけない」と考えていたという。

タワーレコード オンライン事業本部 前田徹哉氏

顧客一人ひとりの購買行動の変化を把握できるようになったことで、「なぜ購入したのか」「なぜ購入しなくなったのか」「どんなメールなら開封されるのか」「どのような商品なら興味を持つ可能性があるのか」といったことを、細かく分析できるようになった。

【データから大事な数字を見つける視点】
◆似たものに着目する (例)グラフの形
◆違うものに着目する (例)異常値
◆変わらない量に着目する (例)価格弾性
◆変化するものに着目する (例)切片
◆規則が同じものに着目する (例)天気
◆違うものに着目する (例)併買

(栗原 諭(渋谷氏)、的野弘路(前田氏)=撮影)
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