内定学生は「他者」に対する想像力がある

よって、各企業からはこういう質問が飛んでくる。「なんでウチの会社なの?」

自分がなぜ、その企業を志望しているのかを説明するためには自分は何が好きで、なぜ、それが好きなのか、なぜ、この仕事がしたいのか、なぜ、この業界なのかということを突き詰めて考えて、しかも答えを持っておかないといけないのである。

面接では必ず「なぜ、そう思うのか?」は深堀りされるので「軸」がブレブレでは最初から勝ち目はない。

採用担当者T氏はこうも語る。

「『面接で何を見るのか?』ですか? 主に『客観性』を見ます。考え方の節々に周りを見る力をどれだけ備えているかということを重視します。学生時代には『自分らしさ』を重視したアウトプットを求められますが、社会でのアウトプットは常に徹底したクライアント、ユーザー目線での仕事が求められますので、そういった感覚に優れているかを大事にしています」

この言葉で思い出した。

有名広告代理店の最終面接で落ちてしまった子と採用された子がいる。

採用されなかった子はこういう思考で面接に臨んでいた。「自分→近くの人(社内)→他人(ユーザー)」。常にベースが自分軸になるので「自分がこう思っているから、皆もこうだよね」という発想になるそうだ。

一方、内定が出た子は自分軸ではなく他人軸。つまり「向こう側にいる人」を考えていることがわかったので採用されている。

新人に対して企業側も「今すぐ巨万の富を生み出せ!」なんていうような大それた要求はしていない。ただ「働くということはどういうことなのか?」をきちんと持っていてほしいということは最低限の要求のようだ。

そこで内定を取った子は「自分の意見は常に正しいわけではないと思っています」と面接官に答えたと言っていた。