残業しない社員には軽度の仕事しか与えない

「10時間労働」の意識が染みついている上司の下で働く「超優秀」な部下は皮肉なことに人事評価が下がり、給与にも影響を与える以上、上司より早く退社しようとはしないだろう。

このことで最も犠牲を強いられているのは、育児などを理由とする「短時間勤務」社員だ。

たとえば6時間勤務の場合、所定労働時間が8時間であれば、給与はノーワークノーペイの原則に則り、8分の6の給与しかもらえない。

ここまでは多くの人が納得できるかもしれない。だが、「10時間労働」意識の上司であれば、普通の社員よりも「4時間も少なく働いている」と見なしてしまう。

その結果、何が起きるのか。

上司は、6時間しか働かないのだから、責任の重い仕事は任せられないと考え、軽度の仕事を与える。そして人事評価でも、たいした仕事をしていないのだから、S、A、B、C、Dの5段階評価でも「C判定=昇給額ゼロ」といった厳しい評価を下してしまう。

通常勤務の同僚が「B判定=昇給額1万円」だとすれば、年間で12万円の月給格差が生まれてしまうことになる。当然、短時間勤務社員の不満が発生する。

実際、「軽度の仕事しか与えられない」という不満は多くの会社で発生している。もちろん、短時間勤務でも従来通りの仕事を担当させる会社もあるが、長時間労働体質が染みついた上司の評価は辛くなるという話もよく聞く。