一流ほど「下手な鉄砲」を撃っている

私は新人時代、情報システムの営業部に配属されました。ここでは新規顧客開拓を専門とする部署です。まずは法人顧客に電話をするところから仕事をスタート。とにかく、電話をしても居留守を使われたり、素っ気ない態度で断られる連続です。「あー、こんなことやっても会ってくれるところなんでないよ」と思いながら電話をしていました。

ところが、15社目の情報システム担当者は「じゃあ、一度お話をお聞きしましょうか?」と言ってくれたのです。私は毎日午前中は電話アポを取りました。その経験で分かったことは、30件に1回はアポが取れるという確率です。つまり、30回じゃんけんをすれば1回はOKがもらえる。

このように考えれば、29回断られることのダメージが少なくなったのです。

▼なぜ初出版の企画に11社が殺到したか

私は、今でこそ10冊の本を書き、出版のご依頼をたくさんいただきますが、6年前の処女作を書く時には、出版界に一切人脈や知り合いはいませんでした。

そこで、私が構築した「続ける習慣メソッド」に興味を持ってくれる出版社を探すべく、じゃんけんの法則を適用しました。飛び込み企画の郵送物は、なかなか目を通してくれないのが業界の常。でも、見てくれる人もたまにいる。ならば、たくさん企画書を送ろうと、自分が大好きな本をリストアップし、33社の出版会社に企画書を郵送したのです。

結果は……。予想外の11社から連絡がありました。「一度お会いしましょう」という連絡が次から次に来て、処女作から出版社を選べる立場でスタートできたのです。

これも、1社送ってダメだから次と考えていたら、精神的ダメージが大きいものです。大切なことは確率論で考える。そして、大量行動する。

一定のクオリティを持つことができれば、ことわざの「下手な鉄砲数打ちゃ当たる」は正しいと思います。

それが証拠に、私の体験を話して「本を出版したい」という人の相談に乗った際、「まずは30社に企画書を送ろう」とすすめました。すると、どんなに低い確率でも6%の返答率。つまり、2社からは返答があったのです。

何もしないと、「いつか本を出したい」という夢のまま終わるものが実際行動してみると、2社の出版社と直接話ができる現実が到来するのです(最終的に、全員、初出版であるにも関わらず10人中6人が書籍化にゴーサインが出ました)。

量を試さなければ、絶対に到達できない結果があります。このじゃんけんの法則は、恋愛でもスキルアップでも目標達成でも全てに当てはまることだと私は考えます。