現在は、「へき地医療対策」として、国、都道府県、市町村が政策的にへき地診療所などの運営、医師の確保、無医地区での巡回診療を行っている。しかし、人口が急激に減る地域では、政策的な医師の派遣が財政的に難しくなるとみられるのだ。急性期医療を担う病院へのアクセスが悪い地域では、脳卒中や心筋梗塞などで救急車を呼んでも手遅れになる恐れがある。

「過疎地に住む人たちは、富山市などが進めるコンパクトシティのように、医療や交通網が整った中核都市に移り住み、必要に応じてそこから田畑や牧場に通うといったように生活拠点を変えていく必要がある」と産業医科大学公衆衛生学教室の松田晋哉教授は強調する。

コンパクトシティは国土交通省が補助金を出して進めている構想。住宅や公共施設、商業施設などを集約化させ、自転車や徒歩で移動できるコンパクトな規模に市街地をつくり、各市街地を公共交通機関で結ぶ。青森市、石川県金沢市なども先駆的に取り組む。

「働き盛りのときに購入した一戸建てに老後も住み続ける発想は転換する時期にきています。医療・介護サービスと生活の利便性を考慮し、60歳以降をどこでどういう形で暮らすのか、40代から真剣に考えないと老後の生活は守れない」と松田教授は話す。

出所:「二次医療圏データベース」「AJAPAシステム」(入院患者数)

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