「2040年には、全国1800市区町村のうち896の自治体が消滅危機にある」
元総務大臣で、東京大学大学院の増田寛也客員教授ら日本創成会議・人口減少問題検討分科会が予測しているように、半分近い自治体がなくなる危険性がある。「30年の時点でも、かなりの市区町村で人口が激減しているとみられます。これらの地域では、若年人口だけではなく高齢者も現在より増えない。病院どころか、買い物もできない、豪雪地帯なら除雪もしてもらえないなど、生活の維持も難しくなってくるでしょう」。同分科会のメンバー、国際医療福祉大学大学院医療経営管理分野の高橋泰教授はそう指摘する。
といっても、いわゆる離島や人里離れた集落の話ではない。秋田県では大潟村以外のすべての市町村、青森県でも9割の自治体が消滅の危機にあると予測されたように、現在はある程度の人口がある地方都市も含まれる。医療の単位である二次医療圏は全国344医療圏に分けられるが、人口20万人未満か人口密度200人/平方キロ―メートル未満を過疎地型とすると、半分近い127医療圏が該当する。面積では日本の45%を占めるが、そこに住む人は全人口の9%の約1200万人だ。
例えば、世界遺産の石見銀山がある島根県大田(おおだ)市には約3万7000人が暮らすが、30年には人口が1万人減少する見通し。入院患者数の予測(下)を見ても、どの病気でも患者数が10年より6~32%減ると予測される。