闘病していても、没頭できることを探すべし
がんの宣告を受けると、しばらくは立ち直れない人がほとんどだと思います。ただ、しばらくして前向きになってきたら、没頭できることを探したほうがいいでしょう。たとえ死の恐怖にさらされているとしても、です。没頭できることがなければ、死の恐怖が強くなるばかりです。
私の妻の場合、主治医から「治るとは思わないでください」と絶望的な宣告をされていますが、趣味の手芸に没頭しています。手芸の展示会に出展するほどで、わが家がお金の問題でどうしようもなくなったときは、やりたかった仕事ということで、手芸屋のパートにも出てくれました。もちろん闘病しながらのことなので、大変なところも少なくないのですが、それでも生き甲斐につながりました。
最近では、派遣会社から、昔やっていた技術系の仕事を紹介されることも増えたのも、妻の気持ちを前向きにすることにつながっています。「必要とされている!」と思うことで、さらに生きる欲が強くなってきたようです。
もちろん、闘病が大変なら働く必要はないのですが、それでも趣味や自分のやってみたいことを、1日にほんの少しでもやるほうがいいと思います。そのほうが免疫力を高めることにもつながります。
しかし、なかには何をしたいのか、よくわからない人もいるかと思います。このような場合は、家族が一緒になって考え、必要に応じてサポートするのもいいでしょう。たとえば、闘病者の興味のあることがあれば一緒につきあったり、ネットなどでいろいろと調べたりするのもいいと思います。家族の協力が闘病者の背中を押すことにつながります。
少しずつでも前進するような感じで、気軽にいろいろ試してみると、“ダラダラ”と過ごすことが少なくなり、ひいては「なんのために生きているのか」という疑問を、闘病者が抱かないようになってくるかと思います。