【1】どういうとき転職の決断を下すべきか

「『がん罹患』だけを理由に解雇することはできません」と語るのは、就労世代のがん患者における就労・雇用の実態の調査・支援などを行うCSRプロジェクト代表で、自身も乳がん治療をした桜井なおみ氏。

しかし実際は「辞めてほしい」と言われることもある。桜井氏の団体で実施するがん患者向けの電話相談でもそういった相談は後を絶たない。

「企業側も心情としては続けさせてあげたいと思っても、雇用形態や適用される社員制度、経営状況、職務内容が、本人の身体症状や働き方の希望に合わないケースは存在します。どうしても働き方の折り合いがつけられない場合は、転職や再就職するということも考えることになるでしょう。ただし、それは最後の手段」(同)

一方、過去にがん患者がいた会社は、その対応のノウハウがあるので入院治療から通院治療に早期のうちに切り替わるようなことも知っていて、本人とのコミュニケーションを密にとっていることもわかってきた(※1)

「私たちも企業向けのがんセミナーをしていて、がん患者の社員への対応がここ数年でも変わりつつあるのを実感します。むしろ、がん患者のほうに仕事を辞めなきゃと考える人が多い。体調がやや不安定でも、会社がそれにある程度理解を示してくれれば働き続けられるはずです」(同)

なお、調査(※2)によれば、がん罹患後に勤務先や配属先が変わった人は、約半数に上った。がんになった後も受け入れる体制が整っている会社は、1000人以上の大手の会社が多いという結果だった。

※1 職場でのがん経験者とのコミュニケーション調査報告(http://www.aflac.co.jp/news_pdf/20130416.pdf)参照。
※2 「がんサバイバー」向けアンケート調査報告(http://www.aflac.co.jp/news_pdf/20120223.pdf)参照。