【弘兼】金丸さんは「ビッグデータ」の第一人者ですね。フューチャーアーキテクトを創業される前には、セブン-イレブンの「POSシステム」の開発を手がけ、流通小売業のIT化を一気に進めました。

弘兼「農業に挑む企業家に必要なことは」 金丸「やはり『つくることが好き』という人だと思います。また消費者から『おいしかった』『次はこうしてほしい』というフィードバックを得ることも重要でしょう」

【金丸】私のキャリアのスタートは、コンピュータの開発者です。システム会社で「16ビット」のノートパソコンを開発していたのですが、当時は用途が限定的で不満でした。ITはもっと事業にインパクトを与えられるはずだ。そう考えてパソコンをコンビニで使ってもらおうとセブン-イレブンに提案したんです。

【弘兼】反応はどうでしたか。

【金丸】最初はけんもほろろに断られました。1年半ほど、朝から夕方まで通い続けて、ようやく理解してもらえました。決断を下すと、行動は早かったですね。半年の開発期間を経て、全国にあった約2600店のすべてにシステムが導入されました。

【弘兼】コンビニはITでの「武装」が最も進んでいる業種ですね。

【金丸】前年比の売り上げが伸び続けている唯一の流通小売業です。売れ筋を数時間単位で分析して、商品をすぐに入れ替えていく。朝と夜では品揃えが異なる。そうした店づくりができるようになったのは、ITの貢献ではないかと思っています。

これが1985年の話です。今から30年前。農業界は私から見ると、それ以前の状態です。ネットワークには繋がっておらず、それぞれの農協の横の繋がりすらありません。情報を共有できていないのです。