では、株式投資に回す資金はどう捻出すればいいのか。佐々木昭人氏も、「企業応援型の運用」をすすめる点では同意見だが、その資金は「なくなってもいいお金でやるべきだ」という。
「住宅購入費用や子供の将来の教育費、老後の資金といった、目的が決まっているお金を増やす手段としては、株式投資は不適切だと思います。減るリスクがあるからです。仮に減ってもさほど困らない資金を使うべきでしょう」
佐々木氏自身は、NISA(少額投資非課税制度=株や投資信託などの運用益や配当金が一定額非課税になる)の利用を始め、日本株の投信で運用しているそうだ。
「利回りより、“頑張れニッポン”の応援です。非課税期間の5年後、増えていたら、2020年の東京オリンピックの観戦費用にする。遊ぶお金なので、仮になくなっても困りません」
稲盛氏はよく、中国古典から引用するが、儒教の教典「四書五経」の一つ、「書経」の中のこんな言葉を多用する。「満は損を招き、謙は益を受く」。株も、短期売買で儲かっても、おごり高ぶるものは損をし、一方、中長期的な視野を持ち、謙虚なものは利益を得る。これが稲盛流の株式投資の極意だ。
【稲盛哲学】満は損を招き、謙は益を受く⇒お金でお金を稼いではならない
佐々木昭人
ファイナンシャル・プランナー。ロムルス代表取締役。
1972年生まれ。生命保険の営業を経て、2007年より現在の事務所を立ち上げ、生命保険のコンサルティングを行う。09年より盛和塾新潟に参加している。
ファイナンシャル・プランナー。ロムルス代表取締役。
1972年生まれ。生命保険の営業を経て、2007年より現在の事務所を立ち上げ、生命保険のコンサルティングを行う。09年より盛和塾新潟に参加している。
伊藤正孝
税理士、ファイナンシャル・プランナー。
1960年生まれ。プライス・ウォーターハウス・クーパースを経て、2004年に伊藤正孝税理士事務所を立ち上げる。稲盛氏の勉強会「盛和塾」では盛和塾横浜の元会計担当事務局を務めた。
税理士、ファイナンシャル・プランナー。
1960年生まれ。プライス・ウォーターハウス・クーパースを経て、2004年に伊藤正孝税理士事務所を立ち上げる。稲盛氏の勉強会「盛和塾」では盛和塾横浜の元会計担当事務局を務めた。
(相澤 正=撮影)