腸内細菌の「やせ菌」を増やせ
さらに、山田さんは、「ロカボを身につければ、次の年末年始はたとえ暴飲暴食しても太らなくなります。私は、ほとんどお酒は飲まないのですが、しゃぶしゃぶで野菜と一緒に肉を400グラム、その後糖質の少ないスイーツを食べるなど日々暴食しています。行事や特別な日にも我慢しなくていいのがロカボのいいところです」と指摘する。焼酎、ウイスキーなどの蒸留酒、糖質オフの発泡酒など糖質の少ないお酒は、中性脂肪や尿酸値、肝臓の数値に異常がない人なら、たくさん飲んでも大丈夫。日本酒でも1合なら糖質は8グラム、ワインを夫婦で1本空けたとしても糖質は1人5グラム程度なので、あまり気にする必要はない。暴飲暴食をしたい人は、むしろ、ロカボを身につけるべきなのだ。
2つ目の正月太り解消法は、いま注目の腸内細菌叢(腸内フローラ)のやせ菌を増やすこと。私たちの腸内には、1000種類、600兆個以上の微生物が生息して腸内細菌叢を作っている。ご存知の人も多いかもしれないが、同じものを食べていても、腸内細菌叢によって太りやすさ、やせやすさが異なることが分かってきた。
米国ワシントン大学のジェフリー・ゴードン博士は、太っている人とやせた人の腸内細菌叢を、無菌マウスに移植し、同じものを食べさせて体重を比較した。その結果、太った人の腸内細菌叢を移植されたマウスのほうがより体重が増加し、脂肪も蓄積しやすかった。太りやすい人には、必要のないものまで貯め込むデブ菌「ファーミキューテス類」が多く、健康な体を作るために働くやせ菌「バクテロイデーテス類」が少ないことも分かっている。やせ菌を増やすには、納豆やヨーグルトなどの発酵食品、食物繊維が豊富な野菜をたくさん食べるのが効果的だ。今日から腸内細菌の改善を始めてみたい。
3つ目の正月太り解消法は、通勤や買い物のときに歩く時間を増やし、階段を使うこと。年初に、今年こそ運動を始めようと誓った人も多いかもしれないが、多くの医師が力説する長続きのコツは日常生活に運動を取り入れることだ。月並みでも、電車通勤の人は、帰宅時に自宅の最寄り駅より1つ前で下車して歩いたり、社内や営業などで外に出るときもエスカレーターやエレベーターを使わず階段を利用したりしてみよう。歩くときには、ちょっと汗ばむくらいの早歩きをしたり、坂道や階段のある道を選んだりするのがポイントだ。人と話しながら楽に続けられるくらいの速度でのスロージョギングもいいだろう。
運動は生活習慣病の改善や大腸がん、乳がんの予防にも効果的だ。ただ、運動では、増えた体重は急激には落ちないので、くれぐれも、運動で喉が渇いたからといってビールをガブ飲みしたり、糖質をとり過ぎたりしないように注意したい。