亀田製菓が2015年11月より「ハッピーリターン制度」を導入した。この制度は、さまざまな事情で退職した元従業員が同社に復職することを可能にする、いわば「出戻り制度」である。こうした制度はここ数年、独立や転職者の多いインターネット系のベンチャー企業でも多数導入されている。出戻り社員は一度その会社を経験しているから、再度、職場で活躍してくれることは間違いないという安心感があるわけだ。また、近年の採用難や、企業が育成コストのかからない即戦力となる人材を欲しているということも、出戻り制度導入の背景にある。
セレブレイン代表の高城幸司氏は「ほかの会社に行った人が戻ってくると、“隣の芝生は青くなかった”とわかって、自社の強みを再認識し、社内でプロモーションしてくれる」というメリットを指摘する。一方で、「一度辞めてもいつでも戻ってこられる」と従業員に思われてしまうデメリットもあるという。そのため制度設計には工夫が必要で「戻ってきたからといって、同じ部署に戻したり、役職を上げたりしないこと。むしろ厳しめの待遇にしたり、新規事業を担当させるなどして、結果を出してもらうべき」(高城氏)という。これから同制度導入を検討している会社は参考にするといいだろう。
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