私たちの身の回りから電気を「収穫」する技術を、エネルギー・ハーベスティングという。たとえば、人や家畜の体温、機械の振動や人の運動、無線通信の電磁波には微小なエネルギーがあり、これを集めて電力に変換する。
エネルギー・ハーベスティングは「電池」に置き換わる技術として期待されている。近い将来、あらゆるものがインターネットにつながる「モノのインターネット(Internet of Things=IoT)」が実現すれば、大量の無線センサーが使用されることになる。その無線センサーの駆動電源として、現在注目されているのだ。「近い将来、(エネルギー・ハーべスティングによって)充電や電池交換なしに無線センサーやウエアラブルデバイスを長時間駆動することができる」と東京大学大学院工学系研究科の鈴木雄二教授は話す。日本でもすでに芽が出始めている。たとえば、東京大学、旭硝子との連携でオムロンが開発したエレクトレット振動発電器は、振動から「静電気」を使って100マイクロワットを得ることができ、量産化が期待されている。
現時点では、デバイス側が要求する電力を供給できない場合もあり、「発電量をさらに増やすことと同時に、センサ-や無線の消費電力を減らすことが重要」(鈴木氏)だという。
(AFLO=写真)