スーパーでモノを買うついでに銀行口座の預金を下ろす、ということが可能になるかもしれない。2015年末、「レジからお金を下ろせるよう金融庁が規制緩和する」という報道が流れたからだ。
金融庁が参考にしているのは米国の仕組みだろう。米国では1980年代頃からデビットカード決済の仕組みを応用して、レジで現金を引き出せる「キャッシュバック」と呼ばれる仕組みが普及している。実は日本でも2006年、銀行法が一部改正されて銀行業務を外部に委託できる銀行代理店制度が導入されたとき、この話が議論されていた。だが、いつの間にか立ち消えになった。それが再燃した背景は何か。中央大学大学院戦略経営研究科教授の杉浦宣彦氏によると「インバウンドの関係で、外国人観光客が少額の現金がほしい場合、ATMなどから現金を引き出す手間を省けるといった利便性から再びこのサービスが着目されてきているのが一因」ということのようだ。
スーパーでお金が下ろせる仕組みは、外国人観光客だけでなく、我々日本人、特に高齢者にとっても便利だろう。しかし、設置する側のスーパーにとっては、レジを狙った強盗への対策を考えたり、カードリーダーなどの装置を設置するコストがかかったりするなど、負担ばかりが大きい制度だといえる。
(時事通信フォト=写真)