新卒の一括採用からはみ出した若者向けの就職サービス「就活アウトロー採用」。これまで20社に70人が入社した。この企画を運営するNPO法人キャリア解放区の納富順一代表と、企業の採用担当者として就活アウトロー採用に参加した経験を持ち、今は運営側に加わっている採用コンサルタント・青野光一氏を迎え、“就活アウトロー”たちの人材としての魅力について語ってもらった。
「まだこんな採用があったのか!」
【若新雄純】青野さんは、2012年の「デコボコラボ」(「就活アウトロー採用」の前身プロジェクト)にゲストとして来てもらったのが最初でしたね。参加していた若者たちが、「自分たちのように就活からはみ出していても、本当に企業のニーズはあるのか」と半信半疑だったので、当時上場直後のベンチャー企業で人事だった青野さんを呼んで、僕と対談してもらいました。
【青野光一】すでに面識のあった納富さんから、「就職を希望する既卒者が集まるイベントがあるから来てほしい」と誘われて、なんだか訳がわからないまま行ったんです。若新さんにはその時初めて会いました。WEBサイトのプロフィールには「自意識過剰なので、誇張してます」と書いてありましたが、会ってみたらそのままでした(笑)。
【若新】青野さんは最初、僕と目を合わせてくれませんでしたよね(笑)。ところで、イベントに参加してみて、その時はどんな印象を持ちましたか。
【青野】既卒者に対する印象が変わりましたね。僕のイメージでは、いわゆる引きこもりの若者の集まりかと思っていたのですが、自分の意見をちゃんと持って、自分の頭で考えている若者がいたんです。こんな優秀な若者が就職できないでいるなんてもったいない、というのが第一印象でした。
その後、「就活アウトロー採用」では、企業の人事として参加しました。ここでは、「真剣10代しゃべり場」(以前NHK教育テレビで放送されていた討論番組)で取り上げられるような“青臭い”テーマで若者たちと議論するのですが、これまた新しかった。僕は採用活動に15年くらい携わってきて、新卒採用や中途採用を含めていろんな採用の枠組みを見てきたと思っていましたが、「まだこんなのがあったのか!」と衝撃的でした。
【若新】どのあたりが新しかったんでしょう?
【青野】普通はどうしても人事が上で、若者が下、という関係性になってしまいますが、その構図が完全に崩れていました。それだけお互いにオープンで、対等な関係が生まれていたということだと思います。
【納富順一】あの場での自己開示はすごいですからね。参加企業は企業名を明かさずに若者たちと対話し、若者たちも出身大学や年齢などをなにも明かさないので、自然と人と人の対話になります。お互いに勘ぐったりすることなく、1人の人間としてオープンになる。企業と若者が駆け引きなしで対話できる場なんです。
【若新】社会的な属性を開示しないからこそ、自己が開示される、ってことですね。