テレビ放送用などに割り当てられているが、地理的・技術的条件によって他の目的にも利用可能な周波数帯のことをホワイトスペースと呼ぶ。本来ホワイトスペースは地上アナログテレビ放送における混信を防ぐために設けられていたのだが、デジタル放送では電波干渉が軽減するため開放が可能になったというわけだ。

ホワイトスペースの例

ホワイトスペースの例

総務省は2009年12月にホワイトスペース活用の検討チームを設置。地域限定の新たな情報・サービス提供に活用することを目的に、12年に全国に「ホワイトスペース特区」を設ける予定だ。

今年7月、総務省が同特区の先行モデルを公表した。同特区は地域活性化や新産業創出を基本理念としており、先行モデルとして湘南ベルマーレのワンセグによるスポーツ映像の配信やNHKのスーパーハイビジョンの実験など大小・地域さまざまだ。

一方、海外のホワイトスペースの活用法はというと、実は日本と大きく異なる。もっとも早くホワイトスペース活用の議論が行われた米国では、長年マイクロソフトやインテル、グーグルなどがホワイトスペースを免許なしで利用できるようにすることを働きかけ続けてきた。それが実現できれば、「Super Wi-Fi」という従来よりさらに高速な無線インターネット接続の実現が可能になるからだ。今年9月、米国連邦通信委員会はこれを認め、免許不要で開放されることが決定された。

日本では地域活性化にホワイトスペースを割いた感があるが、米国のような事例もある。その成否に注目だ。

(ライヴ・アート=図版作成)