成功する人と成功しない人は何が違うのか。1959年にアメリカで発売されて以来、世界中で読まれている自己啓発本、ダビッド・J・シュワルツ著『大きく考えることの魔術』(翻訳:桑名一央氏/実務教育出版)より、その一部を紹介しよう――。
歓迎のジェスチャーをする笑顔のビジネスマン
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考えの「大きさ」が成功を左右する

成功というのは、大学卒の肩書きや家柄などで決まるものではない。

それは、彼らの考え方が大きいか小さいかによって決まるのである。どれだけ大きく考えることができるかというのが、業績の規模を決めるのだ。では、どのようにしたらわれわれの考えを大きくすることができるのかを検討してみよう。

ジョンは新聞で社員募集の広告を見た。それはまさしく彼が望んでいた就職口だ。しかし彼は何もせずにそれを見送ってしまった。「自分はその職にふさわしくない。今さらじたばたしたってはじまらないさ」と考えてしまったのだ。

あるいは、ジムはメリーとデートしたいと思っている。けれども電話もかけない。自分は彼女にはふさわしくないと考えてしまったからだ。

トムは、リチャード氏が彼の商品にうってつけの客だと感じる。しかしトムはリチャード氏の家を訪問しようとはしない。リチャード氏は大物すぎて、どうせ会ってくれないだろうと考えるからだ。

ベートは就職志望用紙に必要事項を書き入れている。その中に「初任給はいくらぐらいを望みますか」という質問があった。ベートはごく控え目な数字を書き込んだ。ほしいと思う金額には値しない男だと思ったからだ。……などなど、自分を過小評価する例は限りなく続く。

紀元前にある哲学者が“汝自身を知れ”というすばらしいアドバイスをしてくれているが、ほとんどの人たちはこの忠告を、どうも“汝自身の消極面だけを知れ”という意味に解釈しているようだ。

そのため彼らの自己評価は、欠点や欠陥、不適格などを延々とリストアップすることになってしまうのだ。たしかに、自分の欠点を知るのは悪いことではない。それによって、改善すべき点はどこにあるかを知ることができるからだ。しかし、自分の消極的な特徴だけしか知らないとしたら、それは地獄にいるようなものだろう。自分の価値はどんどん小さくなっていくだけである。