スキルやノウハウとは異なるコンサルタントに大切な素質
――ノースサンドを設立した経緯や目的から聞かせてください。
【前田】コンサルタントの“スキル”よりも“人間力”を重視するお客さまが実は非常に多い。私自身がコンサルタントとしてキャリアを積む中で実感し、そのニーズに応えたいとの思いから起業しました。従来のコンサルティングは、事実と論理に基づくアドバイスを中心としており、確かにそれは再現性が高い手法です。しかし、戦略フレームワークを使った企業分析などは、近年ではコモディティ化しており、生成AIなどのテクノロジーでも代替可能になりつつあります。こうした現代に求められているのは、“人”だからこそできる「痒い所に手が届くコンサルティング」です。単なる課題解決ではなく、お客さまに寄り添い、信頼関係を築きながら価値を提供することが重要だと考えています。
――“人間性”が大切だと実感した経験について教えてください。
【前田】前職時代、他社のコンサルタントが会社のブランド力や自身の知識を武器に、型にはまった提案をしている光景をよく目にしました。そうした中で私は、一人の“人”としてお客さまと真摯に向き合い、求められる提案をすることで、高い評価を頂けたという自負があります。
本音で対話を重ねることで、お客さまが気付いていなかった本質的な課題も見えてきますし、ヒューマンスキルを生かして物事の本質を見極めながら、お客さまと共に課題を解決していく、それが、私たちが提供するコンサルティングの形です。
――具体的にどのようなヒューマンスキルを重視しているのですか。
【前田】端的に言えば、「愛嬌・素直さ・しつこさ」です。やはりかわいげがあって親しみやすい、いわゆる「愛嬌」がある人にお客さまは心を開いてくれます。また、コンサルタントというと相手に助言するイメージが強いですが、むしろ大切なのは、自身の考えを押し付けず、相手の意図をくみ取る素直さです。加えて、困難な状況に直面しても、決して諦めずに挑戦し続ける心を持つことで、お客さまから深い信頼を得ることができます。
当社では採用においても、こうした理念、企業文化に共感いただけるかを一つの判断軸としています。かつて採用面でカルチャーマッチが徹底できていない時期があり、その結果、組織の一体感が欠如し、業績も伸び悩む事態に直面しました。現在では採用面接においても、候補者が自然な形で自己表現できるような質問を投げかけ、その人の人間性を引き出すようにしています。入社前から同じような思いを持った素質のある方が、その後既存のメンバーと触れ合う中で、より理念への共感が高まり“人”を大切にする文化が会社全体で強化されているように思います。
高いエンゲージメントの要因は社員全員で会社をつくり上げる仕組み
――事業活動、組織運営において大切にしていることを教えてください。
【前田】当社では、お客さまに「この人にまた仕事を任せたい」と思っていただくことはもちろん、関わる全ての人々を“ファンにすること”を意識しています。例えば、当社にとって人材エージェントは重要なパートナーのため、日頃の功績をたたえるイベント「エージェント感謝祭」や「リクルーティングアワード」を独自に開催し、日々のサポートに感謝の意を示しています。
社員一人一人にファンになってもらうための施策には特に力を入れており、毎月開催している全社員集会もその一つです。社長賞を授与したり、懇親会を開いたりして、お客さま先に常駐する社員が会社の“今”を知り、仲間と交流を深める機会をつくっています。一方で私も、毎朝全社員に向けて日々の気付きや出来事をメッセージとして送り、それを通じて、会社が大切にしている思いを伝えています。本日で1091日目(取材当時)のメッセージとなりましたが、今後も継続していきたいですね。
――その他、組織力を高めるために取り組んでいることはありますか。
【前田】コンサルティング会社では、コンサルタントがノウハウを自身の武器として抱え込む傾向があります。しかし当社では、あえてノウハウを共有する場を設けています。社内のチャットツールに「#knowledge_help」というチャンネルを設置し、業務で困っていることを発信すると、ノウハウのある仲間が手を挙げてナレッジを共有してくれる仕組みです。一つの発信に対して、多くの社員が反応している様子を見ると、お互いに助け合う社風が浸透していることを実感します。
――それらが「働きがいのある会社」の認定やISO30414認証などにつながったのですね(※)。
【前田】一般的に企業規模が大きくなるにつれ、カルチャーを浸透させたり、社員のモチベーションを維持したりするのは難しくなります。しかしそれを「当たり前」とせず、相反することを両立させるのが経営の役割だと私は思っています。その意味で、社員が増える中で働きやすさやモチベーションの維持が評価されるのはとてもうれしいですが、これらの功績はひとえに社員のおかげです。
当社は「クエスト制度」といって、社内イベントや施策に対するサポーターを募集し、意欲的に手を挙げた社員が会社づくりに参加できる制度を設けています。お客さまのことを考えるだけではなく、「会社をより良くしたい」と、会社や仲間への思いやりに溢れた姿勢から、私たち経営陣が学ぶことも多いです。今後も社員全員で会社をつくり、働きがいを感じられる環境を醸成していきたいです。
――最後にこれからのノースサンドで実現していきたいことをお願いします。
【前田】当社は、“人”にフォーカスを当てた独自の経営環境の下で、社員が互いに成長し、お客さまと心を通わせながら仕事を進めています。その結果、「コンサルタントとしてはもちろん、一人の人として信頼できる」「出会って短いのに、長年一緒に仕事をしているようだ」といった評価を頂くことができています。今後は、“世の中にまだない価値を提供する”ことを目指し、コンサルティング領域を超えた事業展開を視野に入れてまいります。
※Great Place To Work® Institute Japan主催の「働きがいのある会社」ランキング8年連続認定、リンクアンドモチベーション発表の「ベストモチベーションカンパニーアワード」4年連続表彰、ISO30414認証の実績を持つ。
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