(2)「静止画」思考から「動画」思考へ

Aさんは成功か失敗かの二極化思考に加え、もう1つ誤った思考の癖があります。それは、静止画で捉えているという問題です。

新人のAさんは、目の前の仕事しか頭に入ってきません。だから、次のような「連続の観点」がないのです。

・凄いと思っている主任や部長もあなたと同じ(失敗の多い)新入社員の時があった。
・生まれてきた時から主任や部長になっている人はいない(当然ですが! でもそう思えていない)
・経験を積んで徐々にできるようになってきたプロセスがあるだけ。

ある経験を「成功」「失敗」と言っている段階で、過去・現在・未来の「経験の連続」が思考にないことになります。ある時点の成功があとで大きな問題を起こしたり、ある時点の失敗があとで偉大な飛躍を生む可能性があるのです。

つまり、経験をもっと広い時間軸で捉えれば、全てはプロセスにすぎません。よって、ある瞬間の経験や出来事を静止画のように捉えることにはあまり意味がない。過去や未来に意識を広げ「動画イメージ」で思考していくことで気持ちを広く持つことができます。

「いきなり立った赤ちゃんはいない」

私はよくこんな話をします。人間の赤ちゃんは生まれてすぐ立ちませんし、いきなり歩くこともありません。何度も転(こ)けて、泣いて、また転けます。これを繰り返して私たちはようやく生後1年ぐらいで歩けるようになったのです。

もし、「あー、もう転けるのが痛いから歩くのやめたー」と赤ちゃんが思ったとしたら、一生歩くことはできないでしょう。

最初から歩ける赤ちゃんはいないけれど、「転けるプロセス」の先に歩けるという結果が待っている。

だからできるだけ多く経験することが大事なのです。