(3)「できない」ことから、「できる」こと思考へ
私たちは焦点を合わせ直すべきは、成功・失敗に一喜一憂せず、経験を増やすこと。そして、その中から学び・改善すること。少しずつでも成長すれば、結果は出ます。最善を尽くしたのなら、怒られるかどうか、また失敗するかどうかは、ただのフィードバック。どういう結果になるかは、誰にも分かりません。コントロール不能なことです。
だから、自分ができることに焦点を当てて、あとはフィードバックなのだと切り分けること。これを、「コントロール思考」と呼びましょう。逆の視点で言えば、できないことを切り離してできることに集中していくということになります。
私は新入社員の時に、1週間でプレゼン資料をつくるように言われたことがありました。しかし、何をどう手をつければいいか全く分からない。提出の前日になっても、まだ何もできていない状態でした。上司に正直に報告したら次のように叱責されました。
「君は、完璧にできないと何も手を付けないのか? 新人だから完璧にできないのは分かる。でも、表紙ぐらいつくれないの? 目次案ぐらい考えられないのか?」
私は完璧なプレゼン資料をつくらねばならないと勝手に思い込んだ挙げ句、そのプロセスが分からないまま行動がフリーズしていたのです。そこで、まずは「えいやー!」とパワーポイントを立ち上げて、表紙をつくってみました。次に、目次案を書きました。すると、過去の先輩たちの完成資料も参考にすることで、6割ぐらいの完成度のものを作成できたのです。
できることに集中して行動すれば次の展開が見えてくるという例です。
そもそも、どんなものにも「完璧」ということはありません。プロセスで成長していくだけなのです。いきなりお絵描きが上手になる人はいない。経験を通じて徐々にうまく書けるようになる。私たちにコントロールできることは経験を増やすこと、そこから次につながるエッセンスを抜き出し、活かすことだけです。
Aさんにはこうやって考えを整理することができれば、少し失敗に対する恐れが緩和するのではないかとアドバイスをしました。すっきりした顔をして帰ってくれたので、よかったです。
・全体で捉える習慣(脱二極化思考)
・過去から未来への流れの中でものごと捉える習慣(動画思考)
・コントロールできることに集中する習慣(できないことは切り分ける)
ぜひ、今日の経験に当てはめてみてください。