さらに、契約時の一時金を10年後の大規模修繕で使い果たしてしまうと、20年後の大規模修繕には毎月の積立金で備えなければならない。国交省のガイドラインに沿えば、毎月1万6620円。今より6670円の値上げが必要になる。
10年後となれば、ローン残高に応じて所得税などが還付される住宅ローン控除が終了するほか、住宅ローン金利上昇の可能性もある。教育費負担が重くなる世帯もあるだろう。物価上昇、消費税率の引き上げなど、さまざまなダメージが積み重なることも。
ではどうするか。まずは「購入から10年後の壁」を認識し、家計をコントロールすること。そして場合によっては繰り上げ返済(※)を検討する。
利息の軽減を考えると、返済期間を短縮する「期間短縮型」を選びがちだが、これでは月の返済額は変わらない。返済期間は変えずに毎月の返済額を減らす「返済額軽減型」を選びたい。たとえば3000万円を30年返済・金利2%で借りた場合、10年後に120万円を繰り上げ返済すると、毎月の返済額は6070円軽減される。修繕積立金の値上がり分(前述の6670円と仮定)をほぼ帳消しにできる計算だ。利息も約26万円カットできる。
毎月のフローが回らず、住宅ローンを滞納してしまうと、金利優遇(店頭金利より金利を割り引くサービスで多くの人に適用されている)が解除されたり、借り換えができなくなったりする。返済額軽減型を選び、まずは返済を難なくこなしていくことが優先課題だ。
※繰り上げ返済……先々の返済分を任意で前倒しして返済すること。
(構成=高橋晴美)