【夜型人間代表】
神吉康太(AOI Pro.エグゼクティブプロデューサー):1968年生まれ。91年、早稲田大学卒業後、葵プロモーション(現AOI Pro.)入社。2011年より現職、執行役員も兼務。

仕事の8割強がCMの制作で、広告会社と組んだり、ときには直接広告主から依頼を受けることもあります。部にはプロデューサーが4人、そのプロデューサーをアシストするプロダクションマネジャーが6人いて、基本的に2人1組で1つのCMを担当します。具体的な仕事は彼らをまとめたり、依頼されたコンテンツのプロデュースや、新規のCM制作の依託を取ってくることなどです。

そこで1番大切にしているのが、お客さまにとってナンバーワンのサービスマンになること。「こうしたら、もっといいCMができるのではないか」など、お客さまのアイデアはつきず、それに瞬時に対応することが重要なのです。連日夜8時くらいまでミーティングが続き、帰宅が11時頃になっても、残業をしている意識はありません。私はお客さまに喜んでもらうことが嬉しくて、自ら率先して仕事をしているのです。

平日の就寝時間はいつも深夜2時頃ですが、遅くとも翌朝7時半頃には起床するようにしています。そこから朝食を済ませ、メールのチェックを始めます。そして、広告会社やクリエーター、社内のスタッフなど必要に応じて電話やメールでの連絡を取ります。夜型とはいうものの、この時間帯が最も大切なのです。

何をしているのかというと、当日のミーティングの仕込みです。広告会社やクリエーターの方は、皆さん忙しい方ばかり。そうした方々に集まっていただいて、何も決められないのでは、ミーティングの意味がありません。テーマについて全参加者が、自分にとっての「正解」を持ち寄れるようにしておきます。

その事前準備のための連絡であり、その間にどう打ち合わせを仕切っていくかを徹底的に考えます。私はここにかける時間を惜しみません。ですから自宅を出るのは11時近くになってしまいます。幸いなことに私の会社ではフレックスタイム制の労働時間制度を導入しており、その制度をフルに活用しています。

また、私を“ハブ”にして連絡のやりとりをしていると、自分のところにどんどん情報がたまり、そのプロジェクトに最も精通している人間になっていきます。すると皆さんから頼りにされる存在になって、ミーティングを含めてプロジェクトの全体をコントロールしやすくなるという副次的な効果も得られるようになります。

そうした点において重要なのが「スピード・コミュニケーション」の実践です。電話にせよ、メールにせよ、連絡を受けたら、その場ですぐに返事をします。遅くても3時間以内というのが原則で、そのクイック・レスポンスだけでライバルが10人いたら、そのうち8人には勝てると考えています。