なんとなく信頼できる印象を与える人と、そうでない人。心理学的な観点からみて、両者にはどのような違いがあるのだろうか?
誰かと会話をするときには、言葉の端々に、話しかける相手の名前を入れるようにすると、好感度がアップする。たとえば、「この企画おもしろいですよ、○○さん」「ところで△△さん」という具合に、バンバン相手の名前を呼ぶ。これは、心理学で「ネームコーリング」と呼ばれるテクニックだ。
人間は、無意識に自分の名前を好ましいものと感じている。事実、「あ」から「ん」まで、ひらがな全部に点数をつけてもらう実験をすると、自分の名前にある文字に高い得点をつける傾向のあることがわかっている。また、自分の名前に含まれる文字が入っている物やブランドを、好む傾向があることも知られている。
私自身が試したところ、無意識に「な」「い」「と」「う」に高い得点をつけていた。ちなみに、自分の名前に含まれる文字が入っている物やブランドを好ましく感じることを、心理学では「ネームレター効果」と呼んでいる。好意を感じる女性が、偶然にもみんな同じ名前(読み方)だったり、名前に自分と同じ字が入っているブランドが好きだったりということを経験した人も、少なからずいるだろう。
この「ネームレター効果」ゆえに、「ネームコーリング」というテクニックも有効になる。会話の途中で、何度も自分の名前を呼ばれると、「この人は自分に好意を持っているようだ」と感じる。すると「笑顔の返報性」と同様の「好意の返報性」により、相手も自分に好意を持つようになる。好意が信頼につながることは、既に話した通りだ。
なお、遠慮して「君」や「あなた」と呼ぶのは、「私は関心を持たれていない」ととらえられ、逆効果だ。
(構成=大山弘子)