一方、社内の人脈については、会社の組織図から、自分のキーパーソンを探し出したい。まったく関わりのない部署の人であっても、怯むことはない。
「私が関心を持つビジネスについて、知見のある部長のお話をぜひ、お聞かせください」。そんなふうに切り出せば、相手も納得するだろうし、悪い気はしないはずだ。
コネクションをつけたら、好感を持ってもらえるように努力をしたい。ポイントは3つ。1つは相手に関心を持ち、それを会話の端々で示すことだ。
「福岡出身と伺いましたが、今度、福岡に行くんです。おいしい店を教えてください」と尋ねたり、「先日、言われていたことを私なりに考えてみたんですが……」と伝えれば、自分の発言に興味を持ってくれたことを嬉しく感じるはずだ。
2つ目のポイントは、相手が聞いてほしいであろう質問することだ。たとえば、ソムリエの田崎真也さんは実は和食の料理人でもあり、焼酎にも詳しい。聞きたいことがワインの話でも、合間に焼酎について質問をしてみると話が弾むだろう。
さらに、会話の方向も過去のわかりきった話を持ち出すより、未来について水を向けるといい。「部長の部署では今後、どのような展開を考えているのですか」などと尋ねれば、口は一層、なめらかになるものだ。
こうした会話を重ねながら、相手に心を開いてもらうには時間を共有することも欠かせない。会社でしか付き合いのなかった同僚とゴルフのラウンドを回ってみると、急速に距離が縮まるのはその好例だ。口実を設けて何度も会う機会を持つなど、親近感が増すよう時間を積み重ねたい。
私自身、かつてどうしても話を聞きたい役員に、「僕も家が鎌倉なんです」と言って同じ電車に乗り、1時間話をして帰ったことがある。実際は、私は品川に住んでいたので、鎌倉駅で「もう一駅先なので」と言ってその役員と別れ、次の駅で折り返して帰宅した。話をするために往復2時間を費やすことになったし、家が鎌倉でないことは後でばれるのだが、このように工夫すれば、社内の上の人とも時間は共有できるのだ。